その当時、当団体には「球磨川 彦一」というコミカル担当の選手がいた。初めてプロレスを見る児童の中には必ず怖がる子もいるので彦一は笑いで心を掴んでリング上に注目させるにはうってつけの選手だ。
だが彦一のVTRを観て、PTA会長の顔が曇った。それは凶器として隠し持っていた柄杓(ひしゃく)がレフェリーに見つかり、取り上げられるシーンだった。これは当然、卑怯なことをしようとすることへの戒めをユーモラスに表現することが目的で、ここまではなんの問題もない。ただ、このあとレフェリーが取り上げた柄杓で、彦一の頭を「コンっ!」と叩く場面で「これはダメかもしれません」と会長。
もしかして「体罰」と捉えているのか?と思いきや、そうではなく「そもそも柄杓は水などを汲むための物」要するに「間違った使い道」を児童に見せることになるということであった。さらに「君たちのお父さんに」などの表現も×。家庭環境が多様化しているので「お父さんやお母さんに」という表現。
これらは、今でも参考にし、選手やスタッフにも理解してもらっている。但し、小学校でも低学年と高学年、また中学生とでは捉え方が違うので毎回、臨機応変に「大人のアレンジ」を加えて表現している。
つづく