リングの解体は人数が5,6人いれば意外と早い時間でできるものなのだが、1人でやるとなれば、やはり半日仕事になってしまう。
しかも、夏休み前の時期であったため、道場内の温度は40度に迫っていた。
リング下部のワイヤーを緩め、ロープを外し、表面に敷かれているキャンバスを畳もうとしていたのだが、まだロープがあるという感覚でリング上を歩いてしまい「あっ!」と思った瞬間、足を踏み外しそのまま後方へ真っ逆さまに転落してしまった。
不幸にも建物の鉄骨柱を覆っているコンクリートの角(写真矢印部分)に後頭部を強打し、瞬時に「ヤバい!」と感じた。
なまあたたかい汗がドッと吹き出た感覚だったが、もちろん汗ではなく大量の血だった。
とっさに頭部を撮影したのだが、やはりパックリと割れていて白っぽい骨のような物も見えた。
この時 すぐ思ったのが試合ができるできないとかではなく、一番タブー視されていた「流血厳禁」の4文字。
ちょっとした動きでまた血が出るのは間違いない。
選手の管理をしてもらっているマネージャーにすぐさま写真を送ったところ、彼女曰く「しっかり縫ってもらえば大丈夫」とのこと。さすが、現役看護師は冷静だ。
すぐに学生時代からお世話になっている外科へ行き「とにかくガッツリ縫合して下さい」とお願いしたら「え?学校でやる試合って明日じゃない?」と新聞を見て知ってくれていた。
「しかしこりゃひどいな。よし、ガッツリ縫いましょう!」(^_^;)
結局12針縫い、もし傷口が開いて出血してもわかりにくいように、赤いタオルを頭に巻いたまま「教育プロレス第一校目」に臨むことにした。
つづく